26年02月17日
春の気配、森が目を覚ますころに
冬の静けさが少しずつほどけてきました。
森と蔵の庭にも、気づけば小さな変化があちこちに現れています。
足元では、黄色い花がそっと顔を出し、
森の縁では、蝋梅が静かに咲きはじめました。
まだ空気は冷たいのに、光だけがやわらかくなっている。そんな、春の入り口のような時間です。

里山の春は、都会の春よりも少しだけゆっくり進みます。
誰かが合図を出すわけでもなく、
土がゆるみ、枝がふくらみ、鳥の声が変わっていく。
その変化を「待つ時間」そのものが、この場所の豊かさなのかもしれません。
冬のあいだ、森は止まっているように見えます。
けれど、土の中では次の季節の準備がずっと続いています。
薪を割り、落ち葉を踏み、静かな時間を重ねているうちに、
気づけば景色が少しずつ色を取り戻していました。

AIや効率が当たり前になった時代だからこそ、
自然のリズムは、どこか懐かしくて、安心します。
急がなくても、ちゃんと巡ってくる。
森と蔵で過ごす時間は、そんな感覚を思い出させてくれます。

これから新芽が広がり、風の匂いも変わっていくでしょう。
春は、何かを始める季節というより、
「もう一度、呼吸を整える季節」なのかもしれません。
今日も森は、静かに季節を進めています。



