26年01月31日
AIと自然
自然は、何も変わらない。
山は山のままで、森は森のまま。
春になれば芽吹き、夏は濃くなり、秋に色づき、冬は静かに眠る。
ただ、時と共に変化しているだけだ。
一方で、変わり続けているのは人のほうかもしれない。
便利さを求め、効率を求め、正しさを更新し続ける。
昨日までの「当たり前」は、今日にはもう古くなり、
価値観も、常識も、感情さえも、都合よく塗り替えられていく。

AIは、その変化をさらに加速させている。
考えること、選ぶこと、迷うこと。
本来、人が時間をかけてきた営みが、
一瞬で処理され、最適化されていく時代。
けれど、ここ森と蔵では、
AIがどれだけ進化しても、
山は答えを出してくれないし、
森は効率を教えてくれない。
ただ、そこに在り続ける。
風が吹き、空気が冷たく、
寒さの奥に、ほんの少し春の気配が混じる。
その変化を、感じるかどうかは、人次第だ。
自然は、人に何かを強要しない。
急がせないし、評価もしない。
ただ「感じる余白」だけを、そっと残してくれる。
AIの時代だからこそ、
変わらないものの価値が、静かに浮かび上がってくる。
答えを出さない場所。
役に立たない時間。
生産性からこぼれ落ちた感覚。
森と蔵は、
変わらない自然と、変わり続ける人のあいだにある場所。
考えすぎた頭を、いったん休ませ、
自分の感覚を、取り戻すための場所。
自然は、今日もいつも通り。
変わるのは、ここに立つ私たちの気持ちだけなのかもしれない。



